ある教育学徒の雑記

脳裏の落書きの保管場所

雑記

ある塾講師への弔辞

先日、私の塾時代の恩師の訃報に触れた。私が卒塾した直後、末期癌が発覚したのもしっていた。けれど、余命があと半年と言っていた割に随分精力的に様々なテキストをネット上にアップロードし続けていたし、迎えが来るにはまだかかるんだろうと勝手に高をく…

学問の世界に足を突っ込むことについて

大分このブログを放置してしまった。理由はいくつかある。例の道徳の特別の教科化の件に関してテレビを中心としたマスメディアの報道の仕方があまりにもひどすぎたからぶっ叩こうとしたが、「自分の知っていることを共有したいからこのブログを書いてるわけ…

「上から目線の意見」という上から目線の批判について

ここ最近いろいろなネット言説をみながら少し思ったことがある。ネット上のお作法から少しはみ出た過激な意見に対してよくなされる「お前は何様だ」「上から目線に過ぎる」といった諸言説についてである。ここに書かれていることは恐らく色んな人が沢山焼き…

中学受験に思う ~他者ができること

1年間に何度か、若輩者ながら昔に思いを馳せ感傷に浸る日がある。2月1日もその1つ、首都圏の主要私立中学校の入試が始まる日である。競争社会の大海原に漕ぎ出していく子どもたち、本来彼ら/彼女らには似つかわしくない箱の中に何百何千時間と詰め込まれ、け…

千と千尋の神隠しとルソー ~なぜ湯婆婆は負けたのか

==今更だけどネタバレしかありません== 何がきっかけかわからないが一個前の記事がバズってしまって、過激になりがちな脳裏の落書きをそこはかとなくかきつくっているだけの本ブログが衆人環境であれこれ言われるのもなかなか愉快なものであるが、何分落…

『この世界の片隅に』考

=ほとんど公式紹介以上のネタバレを含みません= 素晴らしい作品であった。表現技法の真新しさ、ストーリーの構成、音楽、声優の演技の質に至るまであらゆる点が素晴らしかった。特に呉に空爆が来て、空に絵の具がぽつぽつと落ちていくように表現するシーン…

君の名は。が流行る日本という国

==ストーリーに関してほとんどネタバレを含みません== 新海誠監督の最新作、『君の名は。』が大ヒットしている。興行収入が邦画としては、宮﨑駿監督作品のアニメ映画以外で初めて100億円を突破し、大ヒットしていた『シン・ゴジラ』を颯爽と抜き去った…

写真の写すもの

私のささやかな趣味の一つに写真がある。最近写欲が減退して文字で考えてばかりいるから堂々巡りであるのだが、今回はそんな写真について少し考えてみたい。 写真は、読んで字のごとく「真を写したもの」であるが、英語のphotographであれば「光のかかれたも…

シン・ゴジラ雑感 ~ジャパニーズ・ドリームとぼくたちの未来

==本稿は重大なネタバレを含みます== コンテンツへの飽きがやたらと早い日本の若者がポケモンGoの次に手を付けたコンテンツが「シン・ゴジラ」であった。「早くエヴァを作れ無能」と口々に言われる庵野秀明が手がけた最新作である。個人的に一番の笑いど…

8月6日を考える -歴史と平和をどう捉えるか

Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself. - Barack Oba…

祈る行為とは何か

祈りとは世界の意味についての思考である。 ウィトゲンシュタインの言葉であるが、オツムの悪い私にはその界隈の哲学的経緯を追い切るだけの集中力も地頭もない。ただ祈りという行為にはすこぶる興味がある。そういう頭の悪さを吐き出すのがこのブログである…

ヨーロッパ統合構想への弔辞 ~英国EU離脱に際して~

6月24日の日本時間で昼ごろ、英国時間だと早朝、イギリスのEU離脱が国民投票で裁可された。同日残留派筆頭のキャメロン首相が辞意を発表、戦後ヨーロッパが目指してきたヨーロッパ統合構想が死した日であった。 キャメロン首相辞任に伴い、幾つかの選挙が行…

早大紛争から50年~未知の世代が思うこと

1966年の6月22日、第一文学部学生自治会は学生投票でスト中止を決定、155日ぶりに全学ストを解除した。この記事が投稿される頃はちょうど50年のその日であろう。 ある「時代」を表したものとして、あるいは「大学教育」という歴史の帰結として所謂「早大紛争…

大学生活に疲れてきた君へ

お前また大衆迎合に走るのかとお叱りを受けそうだが、そろそろ世に言う5月病の季節であるし一本書いてみたくなった次第である。とりあえず未読の方も大学生活に疲れてきた方も、以下のポストを見返していただけると嬉しい。恐らく懐かしい気分になるはずで…

二人の恩師

本当は別の記事を書こうと準備していたのだが、とある件から小林哲夫の『高校紛争』を読んでいて本稿について記したくなってしまった。 私は、とりあえず生まれてから大学学部生である今に至るまで、多くの先生に習い、幸いにして「恩師」と呼べる素晴らしい…

批判のお作法

世の中はたちの悪い批判もどきで溢れていると、常々思う。特にひどいのが2chやTwitterで、目を背けたくなるような罵詈雑言が日々行き交っている。上記のようなゴミの掃き溜めでどんな議論が為されようが正直どうでもいいが、真剣な議論の場でさえしばしば言…

ポストポストモダン社会のモダニズム

実がないだけ雄弁であるとは、シラノ・ド・ベルジュラックの一節であり、学なき雄弁というのは、デマゴーグを導くという意味において恐らく最大の愚行の一つであろうが、それがしたいがためにこのブログは成り立っているのだから仕方ない。 『ポストモダンの…

「男」であるとはどういうことか

高校時代の国語の授業であったが、坂口安吾の『ラムネ氏のこと』という作品がある。国語の授業では他にも、梶井基次郎の『檸檬』や森鴎外の『舞姫』等心に強く残る作品を多数鑑賞したが、今回はこの作品について取り上げる。 早速であるが、引用である。 い…

私が私であるということ

アイデンティティという語がある。また、本ブログでも度々取り上げるがモラトリアムという語がある。カタカナ言葉としてこれほど浸透している語も他に見当たらないのではないかと思うくらい両語は日本語の中で相応の地位を得ている。 「ようは自分ってなにも…

大学受験を乗り越えるということ

手が滑って(?)自分のTwitterにこのブログを晒してしまってから、案外多くの人に「読んでるよ」と言っていただけることが多くて戦々恐々としている。だいたい言語には発話される方向性が必要であるのだが、私のこれは、ただ自分の雑感を自己理解欲求を満た…

モラトリアムにおける迷子

DAOKOの「ないものねだり」という曲の一節にこんなものがある。 迷子のオトナたちが子どもになりたがっている。迷子の子どもたちがオトナになりたがっている。ないものねだりなのは、ないものばかりだから。愛想つかさないでよ。 この曲も以前あげた「JK」同…

議論において、多様性が「ある」ということ

様々あって、「多様性」について考えるはめになっている。「議論や学問をする場における集団は、ある程度多様であるほうがよい」という経験則に基づいた感覚における「多様」とは一体どの程度の多様を言うのだろうか、というへんてこな、しかし至極真面目な…

言語化という病理

私的言語を論うなという話は以前以下のエントリーでしたが、今度は物事を言語化するということが如何に虚無的であるかについて私感を述べる。 semicrystaline.hatenablog.com 我々は、日々生きていく中で我々の体験を言語化し、具体化することが求められる。…

ある男子高卒者の青春の形

先日、私が高校時代、直接見ることのできた後輩の最後の晴れ舞台を手伝ってきた。そこにある青春のきらめきにはなんとも嫉妬したものである。 私は、男子校の出である。「サル山」だとか「動物園」だとかいう呼称のほうが「進学校」やら「普通科高校」なんて…

何かから卒業するということについて

今週のお題「卒業」 脳裏の落書きというものは、一つのワードを見るだけで無駄な妄想を働かせてくれるものであり、ミーハーなタグにも反応してしまうものである。 「卒業」とは新字源によれば、①事業を成し遂げること、②所定の課業を修め終えることであるら…