雑記
私は思考し、自分の思考を伝達しようと意志する。するとただちに私の知性が技巧(art)をもって何らかの記号を用い、それを組み合わせ、構成し、分析する。こうして1つの表現、1つのイメージができあがる。それは、以降の私にとって、1つの思考の―すなわち非…
ジョー・バイデンに当確が出た。結果的には、事前の世論調査で「わずかに有利」となっていた州を取りこぼさず、全体的に見れば完勝、といってよい選挙戦であった。 ところで、選挙戦の前後を問わず頻繁に争われた言葉に「民主主義」がある。特に革新勢力は、…
最近は何かと物々しい時代である。多くの人々が不安にかられ、まるでその不安を追認するかのように多くの出来事が立て続けに起こってきた。別に、この出来事それ自体について語りたいのではない。というか、その出来事についての情報は、ここに求めに来るべ…
これはあの日-1年前の今日-のあと、葬儀等を済ませた後、すぐ書いていて、どうしようかためておいたものである。月日の流れというのは、あらゆる悲しみの前にあまりにも偉大なもので、今では色々と物語を作りながら、なんとなしに考えることができるように…
何やらバタバタしているうちに春が終わり、夏が過ぎ去り、すっかり肌寒くなってしまった。クリスマスも終わったというのに、まだイチョウの葉があちこちで舞っているのには季節感と景観のミスマッチを感じざるを得ないが、ともかく、2019年が終わろうとして…
1月に最後の授業が終わって以来、この記事を書こうと思っては筆を折る、ということを繰り返してきた。そうこうしているうちに梅の季節はとうに過ぎ去り、桜が咲き、卒業式まで終えてしまった。それほどに「大学生活を振り返って」というテーマで何事かまとま…
誰かと共に生きる、ということがこれほどまでに大きな問題となった時代は稀であるかもしれない。日々、「私」とは異なる予想を超えた価値観、生き方を持った「誰か」が提起され、彼らとどう共に生きるかが問われ続けている。こうした問題はしばしば、「共生…
あれから1年が経った。 この1年、祖父の死に始まり、加えて2人、同年代の訃報に触れた。短い人生の中で最も「死」について感じ考えた1年だった。このことをささやかながら備忘録として、祈念として、今後の決意として、残しておきたい。 「死」とはどう…
何かを「見る」ことがあり、何かを「撮る」ことがある。そして、何かが「見える」ことがあり、何かが「撮れる」ことがある。この差異は何なのだろうか。ずいぶんと重たい問のようにも思われるが少し書いてみたいと思う。 問いに問いを重ねてみる。「撮る」た…
「みんなちがって、みんないい」とは金子みすゞが唄った「私と小鳥と鈴と」の一説である。 私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私…
==ネタバレ注意== 足掛け1ヶ月以上かけて取り組んできた一連のレポート作成が終わったので、流行りにのって『万引き家族』を見てきた。この映画については告知を見たときからなにかブログに書いておこうと思っていた。しかし、いざ書いてみようと思うと…
「アラーキー」が炎上している。彼のモデルを長きにわたって務めてきた女性の"me too"が発端である。 note.mu このことを書く前に、立場を表明しておこう。私はアラーキーの作品が好きである。彼の作品を好んでみている。彼の才能を尊敬しているし、真似でき…
桜の花が咲いて、散った。また春が来た。最近の陽気は「春」を一足飛びに飛び越えてしまったようだけれど、「出会いと別れの季節」は変わらず今年もやってきた。 「桜」というのは象徴的な花である。あれを見ると感傷的になるように、我々は形作られてきたら…
表題の問題について何らかのことを書くこと、それは問題のデリケートさからいって少々ためらわれるところがある。であるから最初に注記しておこう。私は特定の政党の支持者ではないし、誰かを特別に論って批判しようと思ってこの記事を書いているわけではな…
この記事を書く直接のきっかけは、フィギュアスケートの羽生結弦があるインタビューに答えて次のように言ったことにある。 「芸術」というのは明らかに正しい技術。徹底された基礎によって裏付けされた表現力-芸術-であって、それが足りないと「芸術」には…
この記事は弔いと自らの感情の整理のために書いている。身内に不幸があった。そのために書いている。本当は表に、公の光に当てるような話ではない。けれど書いてみないとわからないのだ。難儀な性格である。ほとほと困る。しかし備忘録的に、残しておかない…
大分このブログを放置してしまった。理由はいくつかある。例の道徳の特別の教科化の件に関してテレビを中心としたマスメディアの報道の仕方があまりにもひどすぎたからぶっ叩こうとしたが、「自分の知っていることを共有したいからこのブログを書いてるわけ…
ここ最近いろいろなネット言説をみながら少し思ったことがある。ネット上のお作法から少しはみ出た過激な意見に対してよくなされる「お前は何様だ」「上から目線に過ぎる」といった諸言説についてである。ここに書かれていることは恐らく色んな人が沢山焼き…
1年間に何度か、若輩者ながら昔に思いを馳せ感傷に浸る日がある。2月1日もその1つ、首都圏の主要私立中学校の入試が始まる日である。競争社会の大海原に漕ぎ出していく子どもたち、本来彼ら/彼女らには似つかわしくない箱の中に何百何千時間と詰め込まれ、け…
==今更だけどネタバレしかありません== 何がきっかけかわからないが一個前の記事がバズってしまって、過激になりがちな脳裏の落書きをそこはかとなくかきつくっているだけの本ブログが衆人環境であれこれ言われるのもなかなか愉快なものであるが、何分落…
=ほとんど公式紹介以上のネタバレを含みません= 素晴らしい作品であった。表現技法の真新しさ、ストーリーの構成、音楽、声優の演技の質に至るまであらゆる点が素晴らしかった。特に呉に空爆が来て、空に絵の具がぽつぽつと落ちていくように表現するシーン…
==ストーリーに関してほとんどネタバレを含みません== 新海誠監督の最新作、『君の名は。』が大ヒットしている。興行収入が邦画としては、宮﨑駿監督作品のアニメ映画以外で初めて100億円を突破し、大ヒットしていた『シン・ゴジラ』を颯爽と抜き去った…
私のささやかな趣味の一つに写真がある。最近写欲が減退して文字で考えてばかりいるから堂々巡りであるのだが、今回はそんな写真について少し考えてみたい。 写真は、読んで字のごとく「真を写したもの」であるが、英語のphotographであれば「光のかかれたも…
==本稿は重大なネタバレを含みます== コンテンツへの飽きがやたらと早い日本の若者がポケモンGoの次に手を付けたコンテンツが「シン・ゴジラ」であった。「早くエヴァを作れ無能」と口々に言われる庵野秀明が手がけた最新作である。個人的に一番の笑いど…
Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself. - Barack Oba…
祈りとは世界の意味についての思考である。 ウィトゲンシュタインの言葉であるが、オツムの悪い私にはその界隈の哲学的経緯を追い切るだけの集中力も地頭もない。ただ祈りという行為にはすこぶる興味がある。そういう頭の悪さを吐き出すのがこのブログである…
1966年の6月22日、第一文学部学生自治会は学生投票でスト中止を決定、155日ぶりに全学ストを解除した。この記事が投稿される頃はちょうど50年のその日であろう。 ある「時代」を表したものとして、あるいは「大学教育」という歴史の帰結として所謂「早大紛争…
本当は別の記事を書こうと準備していたのだが、とある件から小林哲夫の『高校紛争』を読んでいて本稿について記したくなってしまった。 私は、とりあえず生まれてから大学学部生である今に至るまで、多くの先生に習い、幸いにして「恩師」と呼べる素晴らしい…
世の中はたちの悪い批判もどきで溢れていると、常々思う。特にひどいのが2chやTwitterで、目を背けたくなるような罵詈雑言が日々行き交っている。上記のようなゴミの掃き溜めでどんな議論が為されようが正直どうでもいいが、真剣な議論の場でさえしばしば言…
手が滑って(?)自分のTwitterにこのブログを晒してしまってから、案外多くの人に「読んでるよ」と言っていただけることが多くて戦々恐々としている。だいたい言語には発話される方向性が必要であるのだが、私のこれは、ただ自分の雑感を自己理解欲求を満た…